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尾瀬行き(研修)②

 翌日は、特にスケジュールもなく自由行動とのことだったので、予定通り燧が岳と実行することにした。せっかく行くなら森林限界を超えたところで朝日を見たいと前日に朝食をおにぎりにしてもらい目覚ましは4時にセットしておいた。
 さて、朝だ。前日薄曇りだったせいか冷え込みはさほどでもない。しかし、電気の通っていない尾瀬である。月もないので一面の暗闇。ヘッドライトだけが数メートルだけの世界を映し出してくれる。もちろんこんな時間に山に登る物好きはいない。とそんなときすぐ側の熊笹で動物が逃げていく音が!! 結構大きい生き物だ。素早さからして鹿か何かだろう。熊ではない。そんなはずはない。いや、そんなことはない。そうかもしれないと腰を抜かしそうになったのを立て直し、空威張りで大声を出してみる。こんなのまっぴらだと音楽を聴くことにした。以前こういう場面で沢田知可子が流れてきて苦しい思いをしたことがあったので、今回はアップテンポの曲にした。
 木道を外れ登山道に入り登っていく。電源は入れていたが、暗闇なのでGPSもほとんど見ずにズンスン進んだ。30分ほど経っただろうか。登山道という割には、道が悪い。足跡はあるが、ぬかるみがひどく倒木が何度も道をふさぐ。入山者が多い割には管理がなってないな、、、、。進めば進むほど道は悪くなる。最後に道らしさも確認できない事態になった。困ったなとGPSを確認すると、すれにルートから800M以上離れているではないか。思い返してみてもそれらしい分岐はなかったはずだ。しかし、何せ初めての道に視野が極端に限られるヘッドライトの明かりだ。ほとんど登り初めから分かれてしまったようだ。ここで私は2つの選択に迫られた。一つは、来た道を引き返すこと。山歩きの常套手段だ。もう一つは新ルートを開拓し、無理矢理登山道に戻ることだ。ご想像の通り、時間の節約を考え後者を選んだ。
 そろそろ、薄明かりになってきてもいい時間だが、谷間と森のためほとんど変わることがない。相当に藪が濃いため頼みのGPSも衛星を3つ補足するのが難しい状況だが、正規ルートがあるであろう方向に足を進めた。数百メートル進んでもう半分ほどだというところで、限界に近いブッシュに突っ込んだ。体が押し返される。これでは、鉈なりの装備がないとこれ以上の進入は無理だろう。仕方がない戻ろう。そう思ったとき、ほぼ完全に方向感覚をなくしていたことに気づいた。なにせ、真っ暗闇の中視界ゼロの熊笹の中を進んだのだから無理もない。惨めなものだ。こんな時、普段『いつ死んでもいい、毎日が満足しているから』などといっていても、こんな所で死にたくはないとパニックになりかける。しかし、焦って低みへ下れば沢で動けなくなるかも、、、。ここは冷静に冷静にと言いながらあたりを駆けずり回っているうちに少し明るくなって、位置感覚が戻ってきた。日の光とはありがたいものだ。情報量が一気に何倍にもなる。明かりの方向と傾斜から戻る方向が自ずと分かってきた。それから30分ほどだろうか。藪との格闘の末、ついに新ルート(登山道入り口に戻っただけだが、、、)を開拓し、無事生還を果たしたのだった。
 時間は随分ロスしたが、もう一度同じ道を登り直すか、または別ルートで登るかしようかと一瞬頭をかすめたが、脳の奥へ深く刻み込まれた暗闇の恐怖が、いつの間にか私を駐車場へ最短で帰る道へと向かわせていた。明るくなった尾瀬沼側の木道で、おにぎりを食べながらGPSのログを見た所、中腹の同じあたりとぐるぐるとせせこましく歩き回った軌跡が描かれていた。
 山は、甘くないな、、、、。そのまま、翌日の社員旅行へ裏磐梯で合流することになっていたが、無性に家族に会いたくなり250KMの道のりを飛ばして帰った。
by dynabooksx | 2006-10-18 12:14 | 真也の運動日誌

真也の歩み、愛理の子育て日記。私たちは福島第一原発5kmの双葉町民。時代は動く。私たちはその目撃者になる。画像のペレット&薪ストーブは、真也の施工作品。新天地を暖かく燃やし照らしてくれる。
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