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命の泉を考える。



アレクセイと泉というチェルノブイリの被害を受けて全村避難となったなっても、そこに残り続けた老人達と一人の若者についての映画を浜松まで見に行って来ました。なぜなのでしょう。死が大きく迫っているこの場所で、暖かく命の輝きが見えるのはどうしてなのでしょう。この物語の中心は、なぜかそこだけ放射能が検出されない村の中にある泉なのですが、村の人達はそれを拠り所として生活をしています。ほとんどの若者は、その激しい汚染地帯を出て行きましたが、土地に慣れ親しんだ老人達は、数は少ないですがそこに残ることを決断しました。人数が補充されていくことのない。死に向かう村です。

真っ暗になったホールで上映される中で、どこか遠い世界に来たような気持ちになって見ていた。でもこの自給自足の生活は、私達の町でもほんの数十年前までは当たり前のもので、私が生まれた頃も馬や豚は当たり前にいて、それらの世話をするのが日課だった。私の妻は、東京から田舎に引っ越してきたとき、最初『何もない、何もない』と繰り返していたが、私にはその意味が分からなかった。私に言わせると、都会が『何もない』
命を感じないからだ。田舎には命があふれていた。本来であれば、今頃は水田に水が張って、都会から来た人が夜、蛙の声が気になって寝ることができないほどの大合唱をしていたはずだ。リモートカメラさえ復活出来れば、同時に備え付けてある高感度マイクで音声も配信できる。どうしても早期に復旧させたくなってきた。

不思議なもので、私達が双葉から逃げてきた時、福島市に滞在した住所も『泉』、今蒲郡にいる住所も『泉』である。最初に逃げた福島市の泉も、昔から水が豊富に湧き出る所で、地震の断水が続いていた際、井戸水によって豊富にそれを使うことが出来た。どうも私達は『泉』に縁があるようであり、夫婦で顔を見合わせた。


聖書にも井戸の水を飲ませる場面で、この『泉」についてのやりとりが記されています。ちょっと長いですが引用します。


ルカによる福音書
4:1イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 4:2(しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) 4:3ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 4:4しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 4:5そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 4:6そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 4:7ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 4:8弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 4:9すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 4:10イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 4:11女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 4:12あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 4:13イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 4:14しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 4:15女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 4:16イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 4:17女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 4:18あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 4:19女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 4:20わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 4:21イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 4:22あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 4:23しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 4:24神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 4:25女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 4:26イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。
4:27そのとき、弟子たちが帰って来て、イエスがひとりの女と話しておられるのを見て不思議に思ったが、しかし、「何を求めておられますか」とも、「何を彼女と話しておられるのですか」とも、尋ねる者はひとりもなかった。 4:28この女は水がめをそのままそこに置いて町に行き、人々に言った、 4:29「わたしのしたことを何もかも、言いあてた人がいます。さあ、見にきてごらんなさい。もしかしたら、この人がキリストかも知れません」。 4:30人々は町を出て、ぞくぞくとイエスのところへ行った。 4:31その間に弟子たちはイエスに、「先生、召しあがってください」とすすめた。 4:32ところが、イエスは言われた、「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。 4:33そこで、弟子たちが互に言った、「だれかが、何か食べるものを持ってきてさしあげたのであろうか」。 4:34イエスは彼らに言われた、「わたしの食物というのは、わたしをつかわされたかたのみこころを行い、そのみわざをなし遂げることである。 4:35あなたがたは、刈入れ時が来るまでには、まだ四か月あると、言っているではないか。しかし、わたしはあなたがたに言う。目をあげて畑を見なさい。はや色づいて刈入れを待っている。 4:36刈る者は報酬を受けて、永遠の命に至る実を集めている。まく者も刈る者も、共々に喜ぶためである。 4:37そこで、『ひとりがまき、ひとりが刈る』ということわざが、ほんとうのこととなる。 4:38わたしは、あなたがたをつかわして、あなたがたがそのために労苦しなかったものを刈りとらせた。ほかの人々が労苦し、あなたがたは、彼らの労苦の実にあずかっているのである」。
4:39さて、この町からきた多くのサマリヤ人は、「この人は、わたしのしたことを何もかも言いあてた」とあかしした女の言葉によって、イエスを信じた。 4:40そこで、サマリヤ人たちはイエスのもとにきて、自分たちのところに滞在していただきたいと願ったので、イエスはそこにふつか滞在された。 4:41そしてなお多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。 4:42彼らは女に言った、「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。自分自身で親しく聞いて、この人こそまことに世の救主であることが、わかったからである」。



イエスが立ち寄ったサマリアにある井戸で、彼が女に『水を飲ませてくれ』と頼むところから始まる物語だ。ここしばらく私のブログよ読み続けて下さっている方であれば、特別な解説がなくても、この物語の意としていることをなんとなく読み取れるのではないかと思います。対話の中で、サマリアの女が、また村人達は、生きるとは何なのか、命とは何なのか、飲むこととは、食べることとは、労することとは何なのかに気がついて行きます。重要だと思われるところに色をつけておきました。私が細々とした説明を施すよりも、ゆっくりと読み返して、イエスが何の目的で地上の生涯を送ったのか、何を伝えるために人々の間を巡り歩いたのか。人間の命の意味はどこにあるのか。現代人が失ってしまったそれらを取り戻す鍵が、ここにあると思います。

このことの続きはもう一本別枠で書こうと思います。

命の泉を掘りあてる

水谷 恵信 / キリスト新聞社


ちょうどタイトルに寄せて、私の師でもある人の書いた本を紹介します。お勧めです。うまいこと今月の17日には、いわきで会えるように日程を調整中です。

これは、去年いわきで行われた集会の音声です。本来であれば、今回は社員達全員で聞きに行く予定でした。

苦しみの意義
by dynabooksx | 2011-05-08 05:21 | 真也の視点

真也の歩み、愛理の子育て日記。私たちは福島第一原発5kmの双葉町民。時代は動く。私たちはその目撃者になる。画像のペレット&薪ストーブは、真也の施工作品。新天地を暖かく燃やし照らしてくれる。
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